IP65はIEC 60529系の保護等級で、防塵6・噴流水5を示します。日本では長年JIS C 0920が使われ、2026年1月に後継のJIS C 60529が制定されIEC 60529:2013と整合しました。カタログの「IP65」が前面のみか筐体全体かを必ず確認し、取付切欠き・ガスケット前提かを仕様書に書いてください。
本ガイドは、2012年創業で産業用ディスプレイ、組込みボード、HMIパネル、産業用ゲートウェイ、エッジAIコンピュータを設計・製造するBeijing Huamei Xuntong Technology Co., Ltd. (TouchVision)のエンジニアリングチームが執筆しました。
要点まとめ
- IP65は防塵6+噴流水5。浸漬(7/8)やIPX9とは別等級。
- 日本ではJIS C 0920から2026年制定のJIS C 60529へ移行し、IEC 60529:2013と整合。
- カタログのIP65は前面のみのことが多い。取付条件を仕様書に明記する。
- 屋外キオスクは筐体・ケーブル・熱設計まで含めて等級を確認する。
- 試験証明書の規格番号・年版と銘板表記を必ず突合する。
IP65は何を保証する数字か?
IPコードは外郭による保護の程度を示す記号で、最初の数字が固形物(塵埃)、二番目が水に対する保護です。 IP65なら「塵埃の侵入がない(6)」かつ「あらゆる方向からの噴流水に対して有害な影響がない(5)」という意味になります。水中への連続浸漬(7・8)や高圧高温水(9)とは別の等級です。
産業用タッチモニターやパネルPCでは、盤面の切欠きにガスケット付きで取り付ける前面IP65が一般的です。背面は制御盤内に収まる前提が多く、「装置全体が屋外の雨に晒されてもIP65」とは限りません。

JIS C 0920とJIS C 60529、IEC 60529の関係は?
JIS C 0920:2003はIEC 60529:2001を基にした日本産業規格で、2026年1月20日に後継規格JIS C 60529:2026が制定されました。 日本規格協会の公表によれば、規格番号を国際規格と同じ5桁に揃え、IEC 60529:2013と整合(IDT)させ、第二特性数字に高圧・高温水噴流の等級「9」を導入しています。
| 項目 | JIS C 0920:2003 | JIS C 60529:2026 |
|---|---|---|
| 対応国際規格 | IEC 60529:2001 | IEC 60529:2013(整合) |
| 規格番号 | 4桁(0920) | 5桁(60529) |
| IPX9 | なし(従来上限は8) | 高圧・高温水噴流を追加 |
| 独自附属書 | 油・照明など参考附属書あり | 国際整合のため簡素化 |
調達文書に「JIS C 0920のIP65」と書いてある案件と、「IEC 60529」と書いてある案件が混在します。2026年以降はJIS C 60529への参照更新が進む想定ですが、試験証明書の規格年版と製品銘板の表記を突き合わせる習慣は変わりません。
前面IP65と筐体全体IP65はどう違う?
前面IP65は、指定の板厚・切欠き・ガスケットで盤に取り付けたときの前面側の保護です。筐体全体のIPは背面コネクタ・ケーブルグランド・排熱構造まで含めた評価です。
- 盤内HMI: 前面IP65で十分なことが多い。盤自体の保護と冷却を別途設計。
- 屋外キオスク・ロッカー: 前面だけでなく筐体・ケーブル引込・フィルタの保護等級を確認。
- 洗浄のある現場: IP65の噴流と、IP66の強い噴流、IP69の高圧高温水は条件が異なる。食品・医薬ラインでは要求等級を工程部門と合意。
TouchVisionの産業用赤外線タッチは前面IP65と3〜5 mm強化ガラスをシリーズ仕様として案内しています。静電容量(PCAP)モニターも前面IP65をプラットフォーム仕様に含みます。パネルPCは機種ごとにIPを確認してください(要求に応じて提示)。製品例は産業用タッチモニターおよび産業用パネルPCを参照してください。
キオスク・EV・屋外端末で見るチェックポイント
数字だけでなく、取付条件・メンテ・熱設計をセットで見ます。
| 確認項目 | 質問例 |
|---|---|
| 適用範囲 | 前面のみか、筐体全体か。試験時の板厚は? |
| 規格年版 | JIS C 0920 / JIS C 60529 / IEC 60529のどれで試験したか |
| タッチ方式 | PCAPか赤外線か。厚ガラス・手袋・水滴の条件 |
| ケーブル | グランドのIP、コネクタカバーの有無 |
| 熱 | ファンレス時の周囲温度とディレーティング |
セルフサービスキオスクやEV充電、宅配ロッカーでは、日光下の視認性(輝度)とIPを同時に指定しないと、現場で「映るが濡れる/濡らさないが読めない」状態になりがちです。
選定チェックリスト
見積依頼に次を書けば、IP65の解釈ずれを減らせます。
- 必要なIPコード(例:前面IP65、筐体IP54など)と根拠規格(JIS/IECと年版)
- 取付:パネルマウント/オープンフレーム/壁掛け、板厚、切欠き寸法
- 水の条件:噴流、雨、洗車、高圧洗浄の有無
- タッチ方式とカバーガラス厚、清掃方法
- 周囲温度、直射日光、結露
- ケーブル引込と保守時に蓋を開ける頻度
TouchVisionについて TouchVisionは2012年から、産業用タッチディスプレイ、組込みボード、パネルPC、IoTゲートウェイ、エッジAIコンピュータを、標準品からOEM/ODM案件まで設計・製造しています。標準品には納品日から3年間の保証が付きます。カスタム開発についてはTouchVision OEM/ODMサイトのカスタム産業用タッチディスプレイ、または会社概要をご覧ください。
よくあるご質問
JIS C 0920はもう使えないのか?
既存の試験成績や過去図面ではJIS C 0920参照が残ります。新規調達ではJIS C 60529またはIEC 60529の年版を指定し、証明書の規格を確認してください。
前面IP65なら屋外設置できる?
必ずしもできません。前面保護は盤取付前提のことが多く、背面・ケーブル・日射熱は別設計です。
IP65とIP67はどちらが上?
水に関する試験条件が異なるため単純な上位下位ではありません。噴流と浸漬の両方を示すためにIP65/IP67のように併記する場合があります。
IPX9はいつ必要?
高圧・高温の洗浄水がかかる用途で要求が増えています。JIS C 60529で日本規格としても明示されました。工程の洗浄条件を見て判断してください。
TouchVision製品のIPは?
赤外線タッチシリーズなどは前面IP65を案内しています。パネルPCは機種確認が必要です。案件の取付条件を共有いただければ適合範囲を整理します。